概要
この論文は、オープンソース現象に生じ
発展しつつある、経済的な地層を分析したものだ。まずはプログラム
開発費用の手当について、よく主張される神話をいくつか論破しよう。
さらにオープンソースでの協力体制の安定性についてゲーム理論分析を
提出する。さらにオープンソース開発の資金手当を維持する
ビジネスモデルを 9 種類提出する。うち 2 つは非営利、7 つは
営利目的のモデルだ。続いて、クローズドであることが経済的にみて
合理的な場合について、定性的な理論を展開する。そして、
営利目的のオープンソース開発に費用手当をするために、
市場が開発しつつある斬新な追加メカニズムを検討しよう。
ここにはパトロン制の再発明とタスク市場が含まれる。最後に、
将来についてとりあえずの予測をいくつか行う。
目次
- 魔法と区別がつかない
- 贈与するおたくたちを超えて
- 製造業的な誤解
- 「情報はフリーになりたがっている」というのはウソだ
- 逆転した共有地
- ソース非公開にする理由
- 利用価値による開発費用手当
- 販売価値の困るところ
- 間接販売価値モデル
- オープンにするとき、クローズドにするとき
- オープンソースのビジネス生態学
- 成功に対処する
- オープン R&D とパトロン制の再発明
- 目標到達までの道のり
- 結論:革命のあとの人生
- 書誌と謝辞
- 付録: なぜドライバをクローズドにするとベンダは損をするのか
改訂履歴
これは$Revision: 1.14 $だ。
ここに上がっていないバージョンは、細々した編集上や誤植訂正のアップデートだ。
- 20 May 1999, version 1.1 — 草稿。
- 18 Jun 1999, version 1.2 — 内部レビュー版。
- 24 Jun 1999, version 1.5 — 初の公開。
- 24 Jun 1999, version 1.6 — ちょっとしたアップデート。「ハッカー」の定義のところ。
- 24 Jun 1999, version 1.7 — ちょっとしたアップデート。オープンソースの条件(e)を明確化。
- 24 Jun 1999, version 1.9 — 「将来の不安をなくす」「未来を自由に」モデルと、排除することのメリットについての部分を追加。
- 24 Jun 1999, version 1.10 — 「カミソリの刃」モデルをもっといい名前に改名。
- 25 Jun 1999, version 1.13 — Netscape の収入について、13% という数字を訂正。ただ乗りの影響をもっときちんと処理、クローズドなプロトコルの一覧を訂正。
- 25 Jun 1999, version 1.14 — e-smith, inc. を追加。
- 9 Jul 1999, version 1.15 — ハードウェアドライバに関する新しい補遺と、Rich Morin のおかげで競合のある財についてもっといい説明を追加。(訳注:補遺の部分の訳は、ChangeLogの田宮まや訳を提供していただいた。多少の標記統一以外はほぼそのまま。ありがとうございます。)
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