魔法のおなべ – Eric S. Raymond

osdnhistorian
Friday August 17, @02:37AM

Eric S. Raymond 著
山形浩生 YAMAGATA Hiroo +
田宮まや Maya Tamiya



翻訳文の最新版は
http://cruel.org/freeware/magicpot.html
から入手可能.

概要

 この論文は、オープンソース現象に生じ
発展しつつある、経済的な地層を分析したものだ。まずはプログラム
開発費用の手当について、よく主張される神話をいくつか論破しよう。
さらにオープンソースでの協力体制の安定性についてゲーム理論分析を
提出する。さらにオープンソース開発の資金手当を維持する
ビジネスモデルを 9 種類提出する。うち 2 つは非営利、7 つは
営利目的のモデルだ。続いて、クローズドであることが経済的にみて
合理的な場合について、定性的な理論を展開する。そして、
営利目的のオープンソース開発に費用手当をするために、
市場が開発しつつある斬新な追加メカニズムを検討しよう。
ここにはパトロン制の再発明とタスク市場が含まれる。最後に、
将来についてとりあえずの予測をいくつか行う。

目次

  1. 魔法と区別がつかない
  2. 贈与するおたくたちを超えて
  3. 製造業的な誤解
  4. 「情報はフリーになりたがっている」というのはウソだ
  5. 逆転した共有地
  6. ソース非公開にする理由
  7. 利用価値による開発費用手当
  8. 販売価値の困るところ
  9. 間接販売価値モデル
  10. オープンにするとき、クローズドにするとき
  11. オープンソースのビジネス生態学
  12. 成功に対処する
  13. オープン R&D とパトロン制の再発明
  14. 目標到達までの道のり
  15. 結論:革命のあとの人生
  16. 書誌と謝辞
  17. 付録: なぜドライバをクローズドにするとベンダは損をするのか

改訂履歴

これは$Revision: 1.14 $だ。
ここに上がっていないバージョンは、細々した編集上や誤植訂正のアップデートだ。

  • 20 May 1999, version 1.1 — 草稿。
  • 18 Jun 1999, version 1.2 — 内部レビュー版。
  • 24 Jun 1999, version 1.5 — 初の公開。
  • 24 Jun 1999, version 1.6 — ちょっとしたアップデート。「ハッカー」の定義のところ。
  • 24 Jun 1999, version 1.7 — ちょっとしたアップデート。オープンソースの条件(e)を明確化。
  • 24 Jun 1999, version 1.9 — 「将来の不安をなくす」「未来を自由に」モデルと、排除することのメリットについての部分を追加。
  • 24 Jun 1999, version 1.10 — 「カミソリの刃」モデルをもっといい名前に改名。
  • 25 Jun 1999, version 1.13 — Netscape の収入について、13% という数字を訂正。ただ乗りの影響をもっときちんと処理、クローズドなプロトコルの一覧を訂正。
  • 25 Jun 1999, version 1.14 — e-smith, inc. を追加。
  • 9 Jul 1999, version 1.15 — ハードウェアドライバに関する新しい補遺と、Rich Morin のおかげで競合のある財についてもっといい説明を追加。(訳注:補遺の部分の訳は、ChangeLogの田宮まや訳を提供していただいた。多少の標記統一以外はほぼそのまま。ありがとうございます。)